「夕方になると足がむくむ」「最近まぶたが腫れぼったい」「指輪が抜けにくくなった」——こうしたむくみは日常的に経験する症状ですが、毎日続く・朝になっても取れない・急に出てきたという場合は、身体の内側の変化を確認することが大切です。
この記事では、むくみの主な原因・受診の目安・生活上の注意点について一般的な情報をまとめています。
💡 このような方へ
- 足のむくみが2週間以上続いている方
- 朝起きてもまぶたや顔がむくんでいる方
- 急に体重が増えた(数日で2〜3kg以上)方
- 片足だけがむくんでいる方
- 息切れや尿の変化を伴うむくみがある方
① むくみとはどのような状態か
むくみ(浮腫)とは、組織の間(細胞外)に水分が過剰に溜まった状態です。皮膚の上から指で押すと凹んでしばらく戻らない「圧痕性浮腫」と、甲状腺機能低下症などで見られる押しても戻る「非圧痕性浮腫」があります。
一過性のむくみは、長時間立ちっぱなし・塩分の多い食事・睡眠不足・月経前などの生理的な変化でも起きます。一方、毎日続く・特定の場所だけに出る・急に出てきたという場合は、原因の確認が必要なことがあります。
② むくみの主な原因
腎臓の問題
腎臓は体内の水分バランスを調整する重要な臓器です。腎機能が低下すると、尿として排泄されるべき水分が体内に留まりむくみとなります。またネフローゼ症候群では、尿中にたんぱく質が漏れ出ることで血液の浸透圧が低下し、全身のむくみが現れることがあります。腎機能・eGFRコラムもあわせてご参照ください。
心臓の問題(心不全)
心臓のポンプ機能が低下すると、全身の血流が滞り、特に足・足首にむくみが現れることがあります。階段を上ると息切れがする・横になると息苦しい・短期間で体重が増えたという場合は心不全の可能性があり、早めの受診が必要です。
肝臓の問題
肝臓でのアルブミン(血液中のたんぱく質)産生が低下すると、血液の浸透圧が下がりむくみが起きることがあります。腹部のはり(腹水)を伴う場合があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足すると、顔・まぶた・手足のむくみ(粘液水腫)が現れることがあります。体重増加・寒がり・便秘・倦怠感を伴うことが多いです。血液検査で確認できます。
静脈瘤・リンパ浮腫
下肢静脈瘤(足の静脈の逆流)や、がん治療後などで起こるリンパ浮腫では、特に足に慢性的なむくみが出ることがあります。片足のみのむくみはこれらの可能性があります。
薬の副作用
カルシウム拮抗薬(降圧薬の一種)・NSAIDs(消炎鎮痛薬)・ステロイドなどでむくみが出ることがあります。服薬中の方は薬との関係も確認が必要です。
原因が特定しにくいむくみ(特発性浮腫)
検査で心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などに明らかな異常が見つからない場合でも、日中から夕方にかけてむくみが目立つことがあります。このような原因がはっきりしにくいむくみは、特発性浮腫として扱われることがあります。ただし、自己判断で決めつけず、まずは他の病気や薬の影響がないか確認することが大切です。
③ 早めに受診が必要なサイン
⚠️ 次のような場合は早めに受診してください
- 急に体重が増えた(数日で2〜3kg以上)
- むくみに加えて息切れ・横になると苦しい感じがある(心不全の可能性)
- 片足だけが急に赤く・熱を持ちながら腫れてきた(深部静脈血栓症の可能性)
- 尿が急に出なくなった・泡立つ尿・赤みがかった尿が続く
- 顔や全身が急速にむくんできた
④ 受診の目安
次のような場合は内科への受診をご検討ください。
- 足のむくみが2週間以上ほぼ毎日続いている
- 朝起きてもまぶたや顔が腫れている
- むくみに加えて体重増加・だるさ・息切れがある
- 片足だけが腫れている(もう片方と明らかに違う)
- むくみ取りに利尿薬を自己判断で使っている
- 高血圧・糖尿病・慢性腎臓病などの持病がある
⑤ 受診時に確認すること
内科では、血液検査(腎機能・肝機能・アルブミン・甲状腺・BNP)・尿検査(たんぱく尿・潜血)・血圧測定を行うことがあります。むくみの原因によっては心臓エコーや下肢静脈超音波が必要な場合もあります。
📋 受診時に伝えると役立つ情報
- むくみが出た時期・場所(両足・片足・顔・全身)
- 朝に取れているか、1日中続くか
- 最近の体重変化
- 尿の量・色・泡立ちの変化
- 服用中の薬(市販薬・サプリを含む)
⑥ 生活上の注意点
原因の確認なしに利尿剤を自己使用することはお勧めしません。原因によっては生活習慣の改善が参考になることがありますが、まず受診して原因を確認することが先決です。
- 塩分(ナトリウム)を過剰に摂らないようにする(目安:1日6g未満)
- 長時間の同姿勢(立ちっぱなし・座りっぱなし)を避け、適度に歩く
- 就寝時に足をやや高めにする(枕を足の下に置くなど)
- 適切な水分補給は引き続き行う(水分を過度に制限する必要はありません)
⚠️ 「利尿剤」「むくみ取りサプリ」に注意
市販の利尿作用を謳うサプリや漢方薬は、根本的な原因の治療にはなりません。また、心臓・腎臓の問題が背景にある場合は、自己判断での水分・塩分調整が状態を悪化させる可能性があります。むくみが続く場合は、まず受診して原因を確認してください。
⑦ よくある質問
むくみがあるとき、何科を受診すればよいですか?
まず内科への受診をご検討ください。内科では血液検査・尿検査・血圧測定などから原因を絞り込み、必要に応じて循環器科・腎臓内科・外科などへのご案内を行います。
むくみは「疲れ・塩分・立ちっぱなし」だけが原因ですか?
長時間の立位・塩分過多・疲れによる一過性のむくみは少なくありませんが、毎日続く・朝起きても取れない・顔まで腫れるといった場合は、腎臓・心臓・肝臓・甲状腺などの問題が背景にある可能性があります。「疲れのせいだろう」と放置せず、2週間以上続く場合は受診をご検討ください。
朝、まぶたがむくんでいます。腎臓の病気ですか?
朝のまぶたのむくみは、腎臓病(特にネフローゼ症候群など)のサインとして知られています。ただし、睡眠中の姿勢・塩分摂取・アレルギーなど他の原因でも起きることがあります。繰り返す・他にむくんでいる部位がある・尿の量や色が変わった場合は受診をおすすめします。
むくみの検査ではどのような検査をしますか?
血液検査(腎機能・肝機能・アルブミン・甲状腺・BNP・心機能など)・尿検査(たんぱく尿・血尿の確認)・血圧測定などを行うことがあります。必要に応じて心臓エコーや下肢の静脈超音波検査をご案内することもあります。
片方の足だけむくんでいます。両足のむくみと違いますか?
両足のむくみは心臓・腎臓・肝臓・低アルブミン血症など全身的な原因が多く、片足だけのむくみは深部静脈血栓症(DVT)・リンパ浮腫・静脈瘤などの局所的な問題が疑われることがあります。特に片足だけが赤い・熱を持つ・急に腫れた場合は速やかに受診することをおすすめします。
むくみを自分でケアする方法はありますか?
塩分を控える・長時間の同姿勢を避ける・足を上げて休む・適度に歩くなど、生活習慣の工夫が参考になることがあります。ただし、原因によってはこれらで改善しない場合や、逆に注意が必要な場合もあります。むくみが続く場合は原因の確認を優先してください。
📚 参考情報
- 日本腎臓学会 慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン(参考)
- 日本循環器学会 心不全診療ガイドライン(参考)
- 本記事の内容は、みなとファミリークリニック院長が2026年6月時点の一般的な医学情報をもとに監修しています。個別の診断・治療方針については受診時にご確認ください。