「健診で『貧血』と言われた」「ヘモグロビンが低いと指摘されたが、自覚症状はほとんどない」——健診でこのような結果を受け取り、どうすればよいか迷っている方は少なくありません。
この記事では、貧血の基本的な考え方・原因の種類・受診の目安・緊急性の高い症状について、一般的な情報をまとめています。名古屋市港区みなとファミリークリニックでは、内科で健診後のご相談を受け付けています。
💡 このような方へ
- 健診でヘモグロビン(血色素量)が低いと言われた方
- 「要再検査」「要精密検査」と健診結果に記載されていた方
- 疲れやすい・動悸・息切れが続いている方
- 市販の鉄サプリを飲んでいるが効果を感じない方
- 貧血は何科を受診するか迷っている方
① 貧血とはどのような状態か
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビン(血色素)の量が低下している状態を指します。「貧血」という名前がついていますが、これは一つの病名ではなく、さまざまな原因から起こる状態です。
よくある誤解として「貧血=鉄不足」があります。確かに鉄欠乏性貧血は最も頻度が高い貧血の一種ですが、原因はそれだけではありません。
健診結果で確認されることが多いのは、ヘモグロビン(Hb)値、赤血球数(RBC)、赤血球容積(MCV)などです。これらの数値の組み合わせによって、貧血の種類を大まかに推測することができます。
② 貧血の主な原因
貧血にはいくつかの種類があり、それぞれ原因と対応が異なります。自己判断で鉄剤を継続する前に、原因を確認することが大切です。
鉄欠乏性貧血
鉄が不足することで、ヘモグロビンの合成が低下します。月経のある女性や、食事から鉄を十分に摂れていない場合、消化管からの慢性的な出血がある場合などに起こりやすいとされています。
慢性疾患による貧血
慢性的な炎症・腎臓病・糖尿病・関節リウマチなどの疾患があると、骨髄での赤血球産生が低下したり、鉄の利用が妨げられることがあります。この場合、鉄を補うだけでは改善しないことがあります。
ビタミンB12・葉酸の不足
ビタミンB12や葉酸が不足すると、赤血球が正常に成熟できず、大きな赤血球ができる「巨赤芽球性貧血」になることがあります。偏食や菜食・胃の手術後の方などに見られることがあります。
消化管出血
胃潰瘍・大腸ポリープ・大腸がんなどによる出血が原因となることがあります。自覚症状がないまま少量の出血が続いている場合もあるため、貧血を指摘されたときは消化管の確認が必要な場合があります。
その他の原因
腎機能の低下・骨髄の問題・溶血(赤血球が壊れやすくなる状態)など、さまざまな要因が関係することがあります。原因は症状や血液検査の結果をもとに判断します。
③ 受診の目安
以下のような場合は、内科への受診をご検討ください。
- 健診で「要再検査」「要精密検査」と記載されていた
- ヘモグロビン値が低値と指摘された(目安:成人男性13g/dL未満、成人女性12g/dL未満)
- 疲れやすい・だるい・動悸・息切れが続いている
- 顔色が悪い・眼の粘膜が白いと言われた
- 市販の鉄サプリを2〜3か月飲んでいるが症状が改善しない
📋 受診時に持参するとよいもの
- 健診結果票(できれば過去数年分)
- 服用中のお薬・サプリメント(お薬手帳、または薬の袋)
- 月経の状況(周期・量・期間)のメモ(女性の方)
④ 早めに受診・救急を検討するサイン
⚠️ 次の症状がある場合は速やかに受診・救急を検討してください
- 黒い便(タール便)・血の混じった便が続く
- 吐血(赤い血・コーヒーかす状のものを吐く)
- 強い息切れ・動悸が安静時にもある
- 立てないほどのふらつき・意識が遠のく感じ
- 胸の痛みを伴う
上記のような症状を伴う場合は、救急外来の受診または救急車(119番)・救急相談(#7119)をご検討ください。当院でも対応できる場合は、まずはお電話でご相談ください。
⑤ 受診時に確認すること
受診時には、症状の経過・月経の有無と状況・食事内容・服薬歴・過去の健診結果などを確認します。血液検査では、鉄・フェリチン・ビタミンB12・葉酸・腎機能などを追加して調べることがあります。
消化管出血が疑われる場合は便潜血検査をお勧めする場合があります。必要な検査の種類と優先順位は、診察後にご案内します。
⚠️ 記事だけで原因を特定することはできません
貧血の原因はさまざまで、血液検査の数値を複合的に確認しないと特定できません。「自分は鉄不足だろう」と自己判断して鉄サプリを長期間継続することは、他の原因の見落としや鉄過剰につながる場合があります。特に男性の方や閉経後の女性で貧血を指摘された場合は、消化管出血などの確認が重要なことがあります。
⑥ 自己対応の注意点
- 市販の鉄サプリや鉄剤を自己判断で長期間使用することはお勧めしません
- 「貧血=鉄不足」と決めつけず、まず受診で確認することが大切です
- 食事からの鉄摂取(ほうれん草・赤身肉・レバーなど)は、一般的な生活習慣として参考にしてください
- 症状がなくても、健診で「要再検査」と出た場合は放置せず受診を検討してください
⑦ よくある質問
健診で「貧血」と言われました。何科を受診すればよいですか?
まず内科への受診をご検討ください。健診結果票をお持ちいただければ、ヘモグロビン値や赤血球の大きさ・形などをあわせて確認し、原因の見当をつけることができます。原因によっては消化器科や婦人科など他の診療科が適切な場合もあるため、内科で相談しながら次のステップをご案内します。
ヘモグロビン値はいくつ以下で再検査が必要ですか?
健診の正常範囲は施設によって異なります。一般的に成人男性では13g/dL未満、成人女性では12g/dL未満で貧血とされることが多いですが、個人差もあります。健診で「要再検査」「要精密検査」と記載されている場合は、医療機関への受診をご検討ください。数値そのものより、症状(疲れやすい・動悸・息切れなど)の有無も受診の目安になります。
貧血は鉄分を補えば治りますか?
貧血の原因が鉄欠乏だけとは限りません。出血(消化管・月経など)・ビタミンB12や葉酸の不足・慢性疾患による貧血など、原因によって対応が異なります。受診せずに市販の鉄サプリや鉄剤を長期間使い続けることは、鉄過剰や他の原因の見落としにつながる場合があります。まずは受診して原因を確認することをおすすめします。
貧血の再検査ではどのような検査をしますか?
診察の内容によって異なりますが、血液検査では赤血球の大きさや形・鉄・フェリチン・ビタミンB12・葉酸・網状赤血球などを確認することがあります。消化管出血が疑われる場合は便潜血検査や胃腸の検査をご案内することもあります。必要な検査は症状や健診結果をもとに診察後に判断します。
健診結果票は持参した方がよいですか?
はい、健診結果票(または写し)をお持ちいただくと、診察がスムーズです。ヘモグロビン・赤血球数・MCV(赤血球の大きさ)など複数の数値を確認しながら、より詳しい状況をご案内できます。過去の健診結果があれば、数年分まとめてお持ちいただくとさらに参考になります。
黒い便や血の混じった便が出ています。急いで受診すべきですか?
黒い便(タール便)や血の混じった便は、消化管からの出血が疑われる場合があります。特に黒い便とともにめまい・動悸・強い倦怠感・意識の変容がある場合は、速やかに医療機関を受診するか、症状が重い場合は救急を検討してください。貧血を指摘されている方で黒い便が続く場合は、お電話でご相談ください。
📚 参考情報・出典
- 日本内科学会 貧血に関する診療ガイドライン(参考)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」鉄の食事摂取基準(参考)
- 消防庁 救急安心センター事業(#7119)
- 本記事の医学的内容は、みなとファミリークリニック院長が2026年6月時点の一般的な医学情報をもとに監修しています。個別の診断・治療方針については受診時にご確認ください。