健康診断の結果票に「eGFR 55」「クレアチニン高め」などと書かれ、どう対処すればよいか迷っている方は少なくありません。慢性腎臓病(CKD)は国内に約1,330万人いるとされる、非常に患者数の多い疾患です。初期には自覚症状がほぼないため、健診での早期発見と継続的なフォローが重要です。名古屋市港区・みなとファミリークリニックでは内科での評価と生活指導を行っています。
① eGFRとは何か
eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓が1分間にどれだけの血液をろ過できるかを示す数値です。年齢・性別・血清クレアチニン値から算出されます。
📊 eGFRの目安(成人)
- 90以上:正常〜高め(他の所見と合わせて判断)
- 60〜89:軽度低下(要経過観察)
- 45〜59:軽〜中等度低下(定期フォロー推奨)
- 30〜44:中〜高度低下(専門医への相談を検討)
- 30未満:高度〜末期(専門医管理が必要)
eGFRが低くても、1回の検査だけで診断するのではなく、3か月以上持続する異常があるかどうかを確認することが大切です。また、蛋白尿・血尿などの尿所見と合わせて総合的に評価します。
② 慢性腎臓病(CKD)のステージ
CKDはeGFRの値と尿蛋白の有無によってG1〜G5のステージに分類されます。ステージが進むほど心臓病・脳卒中のリスクが上がり、末期腎不全(透析・腎移植が必要な状態)へ進行するリスクも高まります。
| ステージ | eGFR(目安) | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| G1・G2 | 60以上 | 原因疾患の治療・生活習慣改善 |
| G3a | 45〜59 | 定期検査・生活改善・内科フォロー |
| G3b | 30〜44 | 腎臓専門医への相談を検討 |
| G4・G5 | 30未満 | 専門医管理・透析準備の検討 |
CKDの最も多い原因は糖尿病性腎症・高血圧性腎硬化症です。これらの基礎疾患をしっかり管理することが腎機能保護の基本になります。
③ 生活改善のポイント
塩分制限
過剰な塩分摂取は血圧を上げ、腎臓への負担を増やします。1日6g未満の塩分摂取が目標です(通常の日本人の平均摂取量は約10g)。味噌汁・漬物・加工食品の頻度を見直すことから始めましょう。
たんぱく質の過剰摂取に注意
たんぱく質は腎臓でろ過・排泄されるため、過剰摂取は腎臓に負担をかけることがあります。ただし、自己判断での極端なたんぱく質制限は筋肉量低下や栄養不足のリスクがあります。具体的な制限量はステージや体重・原因疾患によって異なるため、医師・管理栄養士にご相談ください。
血圧・血糖のコントロール
高血圧・糖尿病はCKDの主な原因であり、進行を加速させる要因でもあります。降圧薬・血糖降下薬などで適切に管理することが腎機能保護の観点からも重要です。
⚠️ 腎機能低下時に注意が必要な薬・サプリ
- NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど)の頻繁な使用
- 造影剤(CT検査などの前に医師へ申告)
- 一部の抗生物質・漢方薬・サプリメント(カリウム・リン含有)
処方薬・市販薬・サプリを使用する際は医師・薬剤師にご相談ください。
④ よくある疑問Q&A
Q. 腎機能が低下しても症状がないのはなぜですか?
腎臓はかなり機能が低下しても自覚症状が出にくい臓器です。むくみ・疲れやすさ・尿の泡立ちなどが出始める頃には、すでにある程度進行していることがあります。だからこそ健診での定期確認が大切です。
Q. 一度下がったeGFRは回復しますか?
原因疾患や生活習慣の改善によって低下スピードを遅くすることが期待できる場合がありますが、一度低下した腎機能が元の数値に戻るとは限りません。「現状を維持する・悪化させない」ことを目標に取り組むことが基本です。
Q. 何科を受診すればよいですか?
まず内科にご相談ください。当院(名古屋市港区・みなとファミリークリニック)では内科での初期評価・生活指導・定期フォローを行っています。状態によっては腎臓専門医への紹介も対応します。
Q. クレアチニンとeGFRの違いは何ですか?
クレアチニンは筋肉が代謝される際に発生する老廃物で、腎臓でろ過・排泄されます。eGFR(推算糸球体濾過量)はこのクレアチニン値をもとに年齢・性別を加味して算出した、腎臓のろ過能力を示す指標です。クレアチニンが高い場合、一般的にeGFRは低い値になります。
Q. 1回の検査でeGFRが低かっただけで慢性腎臓病と診断されますか?
1回の検査だけで慢性腎臓病(CKD)とは診断しません。一般的には3か月以上持続する腎機能低下・蛋白尿などの所見がある場合にCKDと診断します。脱水・激しい運動後・薬の影響など一時的な要因でクレアチニンが高くなることもあります。まず内科で再検査・経過観察の相談をすることをお勧めします。