🏥 肝機能・生活習慣病

健診でAST・ALT・γ-GTPが高いと言われたら
脂肪肝の基本と受診目安

📅 公開 2026-05-22 / 更新 2026-06-09 🩺 院長 矢田篤司 監修 📖 約7分で読める
肝機能 脂肪肝 γ-GTP 健康診断 内科 名古屋

📌 この記事でわかること(対象の方)

  • 健診でAST・ALT・γ-GTPの異常を指摘された方
  • 「脂肪肝」と言われたが、症状がなくて様子を見てよいか迷っている方
  • 受診すべき目安・様子を見てよい場合の基準を知りたい方

この記事では、数値の意味・脂肪肝との関係・受診目安の3分類を医師が解説します。

健康診断の結果を受け取って「肝機能が高い」「要再検査」と書かれていても、「症状がないし大丈夫かな」と放置してしまう方も多くいらっしゃいます。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても自覚症状が出にくいのが特徴です。この記事では、健診で肝機能を指摘されたときに知っておきたいことをわかりやすくお伝えします。

① 肝機能検査とは:AST・ALT・γ-GTPの意味

健康診断で「肝機能が高い」と言われる場合、主に以下の3つの指標が問題になっていることが多いです。

指標 別名 主な特徴
AST GOT 肝細胞のほか心筋・骨格筋にも含まれる酵素。肝臓だけでなく筋肉疾患でも上昇することがある
ALT GPT 主に肝細胞に多く含まれる酵素。ASTより肝臓に特異的とされることが多い
γ-GTP ガンマGTP 胆管・肝臓に多く含まれる。アルコール摂取や胆道系の異常で上昇しやすい
主な肝機能検査値の目安(参考値、医療機関により基準は異なります)
検査項目主な意味上昇しやすい原因の例
AST(GOT)肝細胞や筋肉に含まれる酵素脂肪肝・肝炎・筋肉疾患 など
ALT(GPT)主に肝細胞に含まれる酵素脂肪肝・アルコール性肝障害・肝炎 など
γ-GTP胆道系・肝臓に多い酵素アルコール摂取・胆道疾患・薬剤性 など

※数値だけで診断はできません。組み合わせや経過、症状を踏まえて医師が判断します。

ℹ️ 基準値について

基準値は検査機関によって異なります。健診結果の「要注意」「再検査」の欄の指示に従い、気になる場合は医師にご相談ください。

② 肝機能が高くなる主な原因

肝機能の数値が上昇する原因はひとつではありません。代表的なものを以下に挙げます。

  • 脂肪肝(非アルコール性・アルコール性)
  • アルコール性肝障害
  • ウイルス性肝炎(B型・C型)
  • 薬剤性肝障害(市販薬・サプリメントを含む)
  • 自己免疫性肝疾患
  • 胆道系疾患(胆石・胆嚢炎など)

⚠️ 自己判断に注意

肝機能の数値が高い原因は多岐にわたります。「たぶん脂肪肝だろう」と自己判断せず、医師の診察を受けることをお勧めします。

③ 脂肪肝とは:特徴と経過

脂肪肝とは、肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。大きく分けて「アルコール性脂肪肝」「非アルコール性脂肪肝(NAFLD/MAFLD)」があります。

非アルコール性脂肪肝は、食べ過ぎ・運動不足・肥満・糖尿病・脂質異常症などと関係することが多く、お酒をあまり飲まない方でも発症することがあります。

脂肪肝の初期は自覚症状がないことが多く、健診で偶然発見されるケースも少なくありません。「症状がないから大丈夫」とは言い切れない点に注意が必要です。

ℹ️ 脂肪肝を放置すると

脂肪肝を放置すると、一部の方では肝炎・肝硬変・肝がんへの進行リスクが高まることがあります。定期的なフォローが大切です。

④ 生活習慣の見直しポイント

脂肪肝の改善には、食事・運動・アルコールの3点を見直すことが基本とされています。

食事の見直し

  • 過食を避け、適切なカロリーを意識する
  • 糖質・脂質の取りすぎに注意する
  • 清涼飲料水・果糖の多い食品を減らす
  • 野菜・食物繊維を積極的に取り入れる

運動の習慣

ウォーキング・自転車など有酸素運動を週3〜5回、1回20〜30分程度が目安とされています。無理のない範囲から始めることが続けるコツです。

アルコールの適正化

γ-GTPが高い方はアルコール摂取量の見直しをお勧めします。休肝日を設けることが推奨されています。

⚠️ サプリメントにも注意

サプリメントや健康食品の過剰摂取も薬剤性肝障害の原因になることがあります。複数のサプリを服用している方は医師にお知らせください。

⑤ 再検査・受診の目安

次のような状況では、医療機関への受診をご検討ください。

受診目安の3分類

🟢 様子を見てもよい場合

  • 健診結果が「基準値内」で、判定区分が「A(異常なし)」の場合
  • 昨年から数値が変わらず、医師から「問題なし」と言われている場合

→ 引き続き年1回の定期健診で経過を確認してください。

🟡 内科に相談することをおすすめする場合

  • 健診でAST・ALT・γ-GTPのいずれかが「要注意」と指摘された
  • 数値が基準値をやや超えているが「要再検査」の記載はない
  • 昨年より数値が上がってきている
  • 脂肪肝と言われてから定期フォローをしていない

→ 健診結果をお持ちのうえ、内科へご相談ください。生活習慣改善の方針を一緒に考えます。

🔴 早めの受診をおすすめする場合

  • 健診結果に「要再検査」「要精密検査」の指示が出ている
  • AST・ALT・γ-GTPが基準値の2倍以上(目安)
  • 黄疸(皮膚・白目が黄色い)・強い倦怠感・腹部の張りや違和感がある
  • ウイルス性肝炎(B型・C型)の検査を受けたことがない

→ できるだけ早めに内科を受診してください。症状の程度によって対応が異なります。

「数値が少し高いだけだから」と様子を見ているうちに進行するケースもあります。気になることがあればお気軽にご相談ください。

⑥ よくある質問

Q. 健診でALTが少し高かったのですが、すぐに受診すべきですか?

健診結果に「要注意」「再検査」の指示がある場合は、指示に従って受診されることをお勧めします。数値の高さや症状の有無によってフォローアップの緊急度は異なりますので、心配な場合はお気軽にご相談ください。

Q. 脂肪肝は自然に治りますか?

軽度の脂肪肝であれば、食事・運動などの生活習慣の改善で改善するケースがあります。ただしどの程度改善するかは個人差があり、医師の指導のもとで定期的な経過確認を行うことが重要です。

Q. γ-GTPが高い原因はアルコールだけですか?

γ-GTPはアルコール摂取で上昇することが多いですが、胆道系疾患・薬剤性肝障害・脂肪肝などでも高くなることがあります。飲酒量が少なくてもγ-GTPが高い場合は医師に相談することをお勧めします。

Q. 肝機能の数値が少し高い場合、どのくらいで再検査を受けるべきですか?

健診の判定区分(要注意・要再検査など)に従って受診することをお勧めします。「少し高い」場合でも、数ヶ月以内に内科で経過確認することが一般的です。具体的な受診時期は医師の判断に従ってください。

Q. 飲酒をやめれば肝機能は改善しますか?

アルコール性肝障害の場合、節酒・禁酒により改善が期待できることがあります。ただし、どの程度改善するかは個人差があり、また非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)など飲酒以外が原因の場合もあります。自己判断だけでなく医師への相談をお勧めします。

Q. 健診で「脂肪肝」と言われましたが、自覚症状がなければ大丈夫ですか?

脂肪肝は自覚症状が出にくい疾患です。放置すると肝炎・肝硬変に進行するリスクがあるとされており、症状がなくても定期的な経過観察が勧められます。まず内科でご相談ください。

Q. 体重を減らすと肝機能の数値は改善しますか?

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の場合、体重を5〜10%程度減らすことで肝機能の数値が改善するケースがあるとされています。ただし改善の程度は個人差があり、急激な減量はかえって肝臓に負担をかけることがあります。無理のない範囲で生活習慣を見直すことが大切です。具体的な目標は医師にご相談ください。

Q. ウイルス性肝炎と脂肪肝はどう違いますか?

脂肪肝は主に食生活・飲酒・肥満などの生活習慣が原因で肝臓に脂肪が蓄積した状態です。一方、ウイルス性肝炎(B型・C型など)はウイルス感染によって引き起こされます。どちらも肝機能検査値が上昇することがあり、外見から区別することはできません。健診で肝機能を指摘された場合は、必要に応じて医師がウイルス性肝炎の検査を提案することがあります。

Q. 肝機能が気になる場合、どのくらいの頻度で受診すればよいですか?

受診頻度は数値の程度や原因によって異なります。「要再検査」と指示されている場合は、数週間〜数ヶ月以内に受診されることをお勧めします。経過観察中の方は医師の指示に従って定期受診してください。年1回の健診だけでなく、気になる症状があれば早めにご相談ください。

⑦ まとめ

  • AST・ALT・γ-GTPは肝細胞や胆道系の状態を反映する指標
  • 数値が高い原因は脂肪肝だけでなく多岐にわたる
  • 自己判断せず、「要再検査」の指示があれば早めに受診を
  • 生活習慣の見直し(食事・運動・アルコール)が脂肪肝改善の基本
  • 「健診結果が気になる」ときはいつでもご相談ください

肝臓は症状が出にくい臓器だからこそ、健診の数値を大切にすることが重要です。「少し高いだけだから」と放置せず、気になったときにお声がけください。

院長 矢田篤司

矢田 篤司

みなとファミリークリニック 院長

三重大学医学部卒。内科・小児科・皮膚科・リハビリ科を擁する地域密着型クリニックの院長として、総合診療・家庭医の考え方を大切にしています。

→ 院長プロフィール

健診結果が気になったら
お気軽にご相談ください

みなとファミリークリニックでは内科・生活習慣病の診療を行っています。健診で肝機能を指摘された場合の相談・再検査・継続フォローに対応しています。