健診や人間ドックの血液検査で「TSH」という項目が基準範囲外だった場合、「甲状腺に異常があるのでは」と不安になる方もいらっしゃると思います。甲状腺の数値異常は、症状がはっきりしないまま健診で見つかることも多く、数値だけで病気の有無を判断することはできません。
この記事では、甲状腺の数値異常についての一般的な考え方・受診の目安を解説します。個別の診断・治療は、実際の検査結果や症状をもとに医師が判断します。
💡 このページで分かること
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)とは何か
- 数値が高い・低いときに考えられること
- 受診の目安
- 内科で確認できること
① 甲状腺とTSHとは
甲状腺は、のどの前面にある小さな臓器で、代謝や心拍・体温の調整に関わるホルモンを分泌しています。TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳の下垂体から分泌され、甲状腺の働きを調整する役割を持つホルモンです。
健診の血液検査でTSHの数値が基準範囲外だった場合、甲状腺の機能が高まっている、または低下している可能性を示唆することがありますが、この数値だけで診断が確定するわけではなく、他の甲状腺ホルモン値や症状とあわせて確認する必要があります。
② 数値が高い・低いときに考えられること
甲状腺機能低下症が疑われる場合
TSHが高値の場合、甲状腺機能が低下している可能性が考えられます。疲れやすさ・むくみ・体重増加・寒がり・便秘・皮膚の乾燥などがみられることがありますが、症状がはっきりしない方も少なくありません。
甲状腺機能亢進症が疑われる場合
TSHが低値の場合、甲状腺機能が高まっている可能性が考えられます。動悸・体重減少・暑がり・手の震え・発汗増加などがみられることがあります。動悸のコラムもあわせてご参照ください。
一時的な変動によることもある
体調やストレス、検査のタイミングなどによって数値が一時的に変動することもあります。健診で指摘された場合は、再検査で確認することが大切です。
③ 受診の目安
次のような場合は、内科への受診をご検討ください。
- 健診結果票に「要再検査」「要精密検査」と記載されている
- 疲れやすさ・むくみ・体重の変化など、気になる症状がある
- 動悸や手の震え、暑がり・寒がりの変化がある
- 以前の健診でも甲状腺の数値異常を指摘されたことがある
- 家族に甲状腺の病気がある方がいる
📋 受診時に伝えると役立つ情報
- 健診結果票(TSHなどの数値・判定コメント)
- 気になる症状の有無(体重変化・むくみ・動悸など)
- 過去の健診結果との比較
- 家族の甲状腺疾患の有無
- 服用中の薬・サプリメント
④ 早めに相談したいサイン
⚠️ 次のような場合は、早めに医療機関へご相談ください
- 急激な体重減少・動悸・手の震えが強い
- 高熱・強い動悸・興奮状態を伴う場合
- むくみ・倦怠感が急速に強くなっている場合
上記のような強い症状を伴う場合は、健診結果を待たずに医療機関にご相談ください。
⑤ 内科で確認すること
内科では、問診・触診に加え、血液検査で甲状腺ホルモン(TSH・FT3・FT4など)の値を確認することがあります。結果や症状の内容によっては、より専門的な検査ができる医療機関をご案内することがあります。
健診結果票をお持ちいただくと、数値を確認しながらご案内しやすくなります。
⑥ よくある質問
健診でTSHの数値を指摘されました。何を意味していますか?
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は、甲状腺の働きを調整するホルモンです。数値が基準範囲から外れている場合、甲状腺の機能が高まっている、または低下している可能性を示唆することがありますが、この数値だけで病気を確定することはできません。
甲状腺の数値が高い・低いとき、どのような症状が出ますか?
甲状腺機能が低下すると、疲れやすさ・むくみ・体重増加・寒がりなどがみられることがあります。機能が高まると、動悸・体重減少・暑がり・手の震えなどがみられることがありますが、症状がはっきりしない方も少なくありません。
健診でどのような場合に「要再検査」となりますか?
TSHなどの数値が基準範囲外だった場合に、再検査や精密検査が案内されることがあります。一時的な変動によることもあるため、再検査で確認することが大切です。
内科ではどのようなことを確認しますか?
問診・触診に加え、血液検査で甲状腺ホルモンの値を確認することがあります。結果によっては、より専門的な検査ができる医療機関をご案内することがあります。
症状がなければ様子を見てよいですか?
症状の有無だけで判断せず、健診で「要再検査」と指摘された場合は、一度内科などで確認されることをおすすめします。
動悸やむくみのコラムとはどう違いますか?
動悸・むくみのコラムは症状を起点としたご案内です。本コラムは健診の検査値(TSH等)の指摘を起点としており、甲状腺機能亢進症・低下症はどちらのコラムでも背景の一つとして触れています。
📚 参考情報
- 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」(https://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html)
- 本記事の内容は、みなとファミリークリニック院長が2026年8月時点の一般的な医学情報をもとに監修しています。個別の診断・治療方針については受診時にご確認ください。